
「人を快適にする場所」「人を綺麗にする場所」で働く人たちの心は、果たして本当に美しいのだろうか?
オフィスや店舗の「掃除・メンテナンス」という地味な業務には、そこに働く人間の本性と、その組織が長続きするかどうかの「通信簿」が100%剥き出しになります。
こんにちは。異業種のビジネスオーナーやリーダー層の相談に乗る中で、職場の人間関係や個性の違いを「カラー」で分析しているナビゲータのえむおuです。 大好評をいただいている「上司の器・リーダーの算盤勘定」シリーズの第3弾となる今回は、私がこれまでのキャリアで経験した、今思い出しても震える「2つのメンテナンス事件」から、現代の組織が陥る罠、そして「信頼を築くことの本質」についてお話しします。
😱 事件簿1:住宅販売の営業所編「骨折して片手でシュレッダーをかける私と、チラシに夢中の上司」
それは、私が以前に籍を置いていた、あるハウスメーカーの地方営業所での出来事です。
住宅販売といえば、お客様の人生で最大の買い物をサポートする仕事……のはずでした。 (※第2弾でも、そんな「自分ファーストな住宅メーカーのリーダー」の驚愕のエピソードをお届けしましたね) 👉 【参考】「自分の家から近いから」顧客を郊外の店に連行したリーダーの話
年末年始の大量の重要書類を処分するという「地味な重労働」の時期、その営業所では、経費削減のために外部の廃棄業者には頼まず、「手が空いている者がひたすらシュレッダーにかける」という暗黙のルールがありました。
そんな中、私は不運にも手を骨折してしまいます。
当然、日常生活すら不自由な状態です。しかし、普段はお客様にこれ以上ないほどの笑顔と気遣いを見せているはずの職間の男性陣(紺の上司、シルバーの同僚)の対応は、冷徹そのものでした。
私のすぐ後ろにある、建付けの硬い窓を開けるときすら、骨折している私を誰も手伝おうとはしません。それどころか、私が大量の書類をひたすら片手でシュレッダーにかけている横で、シルバーの同僚はマイペースに爪切りをパチパチ音を立てて始めたり、私用の長電話に興じたりして完全に無視。
「紺」のカラーを持つ上司にいたっては、オフィスに鳴り響く顧客からの電話を一切取ろうともせず、新聞に挟まっている特売チラシに夢中。ひたすら安いものを探しては、自宅にいる奥さんに電話をかけ、 「おい、今日〇〇スーパーで魚のブロックが安いから、夕方の市に行って買ってこい!」 と、大真面目に指示を出している始末でした。

怒りと虚しさで手が震えました。 溢れかえる重いゴミ袋を、骨折した腕で地下のごみ置き場まで往復する間、私はひたすらシュレッダーに書類をかけながら、心の中で彼らに激しい呪いもかけていました(おっと、本音が。笑)。
そんな極限状態の中、通りかかったオレンジのカラーを持つ「掃除のおばちゃん」が、 「シュレッダー用の大きな袋、ここに置いといたからね」 と、優しい声をかけてくれたのです。その一言だけで、張り詰めていた涙が溢れそうになりました。
なぜ、お客様にはあれほど完璧に気を遣える人間たちが、毎日顔を合わせる身内の仲間に「手伝おうか?」の、たった5文字の言葉がかけられないのか。その一言さえあれば、私は呪いをかけることもなく、笑顔で頑張れたのに、です。
🚽 事件簿2:池袋エステ編「溢れ出たトイレと、冷徹な家族ごっこ」
もうひとつは、私が20代の頃、池袋の大手エステサロンに勤務していたときのお話です。 そこは、強烈なワンマンタイプである「黄色の支部長(女性)」が絶対君主として君臨し、周囲の先輩たち(ホワイト、シルバー、ブルー)もその色に完全に染まりきっている、典型的なトップダウン組織でした。
当然、一番下っ端である「レモンの私」が、毎日の施術の合間を縫ってトイレ掃除を担当していました。
ある日、客数が多すぎて、ついにトイレが詰まり、水が溢れ出してしまったのです。
お客様は半裸(施術用のタオルと紙パンツ姿)の状態で、「きゃーっ!トイレが大変!」とパニック状態で飛び出してこられました。
私は慌てて他のお手洗いへお客様を平謝りで誘導し、臨機応変に対応。溢れ出る汚水を止めるため、モップを掴み、最後は「素手」で必死に床を拭き取りました。
しかし、その緊迫した私の姿を横目で見ていた先輩たちが放った言葉は、お客様への気遣いでも、私への労いでもありませんでした。

「うわ、汚い……!」
怪訝な顔をしてそう言い放ち、誰一人としてお客様の誘導を手伝うこともなく、ただ突っ立っているだけ。そこに現れた黄色の支部長も、現場を見るなり「さっさと片付けなさいよ」と吐き捨てて去っていきました。
必死の思いで片付けを終え、大量のゴミを抱えてエレベーターに乗っていたとき、先輩から言われた言葉が、今でも忘れられません。
「いい? 支部長はお父さん。先輩たちは母親や姉。そしてあなたは末っ子なんだから、そう思いながら毎日掃除をしなさいね」
ドロドロの汚水を素手で片付けさせ、困っているお客様も無視する人間たちが「家族」? 私の心の中は、怒りと冷ややかな感情で満たされました。
「こんな家族なら、1ミリもいらんわ!!」
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⚠️ 現代版シンデレラの結末:利益ファースト組織の末路
人を綺麗にするエステ業界、人を快適にする住宅業界でありながら、見た目の美しさや目先の利益ばかりを追求し、一番大切な「心」を磨くことを忘れてしまった組織。入ってくる新人や、周囲に気を遣える優しい人にばかりしわ寄せがいく仕組み。
それはまるで、身勝手な姉たちに虐げられる「現代版シンデレラ」そのものでした。
しかし、童話と違って、ビジネスの世界は残酷なほどリアルです。 そのエステ会社は、毎年42名ほど新入社員が入社するものの、あまりの環境の過酷さに夜逃げする人が続出し、最終的には2名も残らない組織でした。そして、その数年後――このエステ会社も、 住宅メーカーも、完全に倒産(破産)しました。
目の前のお客様を見ず、身内の仲間への思いやりも持てない組織が、市場から淘汰されるのは至極当然の結末です。組織を「家族」という耳ざわりの良い言葉で誤魔化し、誰かの犠牲の上に成り立つビジネスは、危機が訪れた瞬間に一瞬で機能停止するのです。
🎨 色彩ロジックからの考察:『手伝おうか?』は最高の投資
「手伝おうか?」という一言を発するコストは、「0円(タダ)」です。 しかし、その一言をケチるリーダーや組織は、部下からの信頼を、そしてお客様からのリスペクトを一瞬で失います。
- ネイビー・シルバー(営業所編): 自分の世界(マイルールや保身、私用)に閉じこもり、目の前のレモン(私)の窮地に気づかない、あるいは見て見ぬふりをする。
- イエローワンマン(エステ編): 数字と権力ですべてを支配し、泥臭い現場を見下す。
- オレンジ(掃除のおばちゃん): 損得勘定抜きで、相手の状況を察して温かい手を差し延べられる。
ビジネスにおいて、「憎しみが湧くのは一瞬」です。理不尽な対応ひとつで、人はその組織を一生呪うようになります。 一方で、「信頼を築くのは、ひたすら日々の積み重ね」でしかありません。それは、骨折したときに窓を開けてくれる優しさであり、トラブルのトイレで一緒にモップを持ってくれる連帯感です。
あなたの職場には、溢れたトイレを前にしたとき、一緒に泥を被ってくれる本当の「仲間」がいますか?
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